新川電機株式会社

大西 徹弥

ST製品事業本部 ST製品企画室...もっと見る ST製品事業本部 ST製品企画室

第二回は、なぜワイヤレスのニーズがこんなにも高いのか、有線と比較してワイヤレスが持つメリットについてご紹介したいと思います。

メリット1 ケーブル敷設の大幅削減

ワイヤレスが持つメリットの中で最も大きいものは、ワイヤレスの名前が表している通り「配線がいらない」という点ではないでしょうか。近年、プラントにおいて設備管理システムや生産管理システムなどを運用するにあたり様々な種類のデータ、所謂ビッグデータを活用するようになりました。そこには、保全費用の削減や熟練技術者の減少など昨今の産業界を取り巻く環境の変化に伴い、今まで監視システムを導入していなかった中小規模の汎用回転機械においても振動データを収集し予防保全を行うものが増えています。
プラントが大きくなるにしたがってシステムは複雑になる傾向にあり、ケーブルの配線もそれに比例して増加、複雑化していきます。監視対象の回転機械が増える場合も同様なことが言えます。システムを構築する際のケーブル敷設費用は決して無視できるものではなく、システム導入予算に対してネックになるケースも考えられます。
データをワイヤレスで伝送することによりシステム構築におけるケーブルの敷設は最小限に抑えることが可能となり、ケーブルの敷設費用が大幅に削減されます。その結果、システム導入予算も削減することができます。

メリット2 システムが導入しやすい

ワイヤレスは上記で挙げた通り最小限のケーブル敷設で構築できるため、システム自体の導入が簡単であることがメリットであると考えられます。ワイヤレスは正常にデータ伝送できるように機器の設置場所を検討するだけでシステム構築できるため、導入までのステップが非常に簡単になります。
有線のシステムを導入する場合、コストの検討はもちろんですがケーブルをどう敷設すればいいのか検討する必要があります。単純にケーブルをまっすぐ敷設するのではなく、壁に沿わせたり天井を這わせたり地下にケーブルを埋めたり、ケーブルが邪魔にならないように検討することが重要です。その他にも動力線と混在しないようにするなどの検討も必要となります。
しかしワイヤレスはシステムが導入しやすいというメリットの反面、電波強度や通信品質によってデータ伝送が不安定になり、有線に比べてデータ欠損のリスクが高いというデメリットもあります。よって導入するにあたり電波強度などの事前調査を行い、各種機器の設置場所に対する検討が重要になります。また、有線と比較するとセキュリティ面もより気を付ける必要があり、収集するデータの重要度によってワイヤレスシステムと有線システムを使い分けるということも検討する必要があります。例えば、ポンプやモータ、ブロワなどの転がり軸受で支持された回転機械の振動監視にはワイヤレスシステムが導入されますが、タービンや発電機などの滑り軸受で支持された大型高速回転機械は、収集データの重要度から有線システムを導入しているのが一般的です。

メリット3 作業効率の向上

ワイヤレスを使ったシステムはケーブルが不要で機器の設置だけで構築できるため、取付や取り外し、またシステムの移設がとても簡単であるというメリットがあります。例えば製造メーカにおいて製造した機器の性能試験や出荷試験を行う際、試験データ収集のために様々なセンサを取り付けて計測する場合があります。有線システムは毎回ケーブルを敷設・養生してデータを収集し、試験が終了すると敷設したケーブルを片付けるなど、毎回手間がかかります。その点ワイヤレスの場合は、センサを取り付けるだけですぐに収集でき、試験終了後は、センサを取り外すだけで片付けが完了するので、作業効率の向上が見込めます。

次回も引き続き、ワイヤレスを使うメリットについてご紹介したいと思います。

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