スペイン語通訳・翻訳 スペイン語講師

杉田 美保子

スペイン・バルセロナ滞在 27 年を経て、2015 年に帰国...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在 27 年を経て、2015 年に帰国。
金沢市の北國外国語カレッジを中心に、スペインの生活とスペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでつながりながら、日本の生活も楽しんでいる。
京都のバルセロナ文化センターのスタッフとして、ますます活動の幅を広げていくべく、挑戦中。

スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。

スペインの新型コロナウィルス(COVID-19)前と後

傘越しに空を見上げ、車のドアを開け、濡れた傘を閉じて助手席に投げ込み、運転席に滑り込んでドアを閉めると、「ふ〜」というため息が出るときがあります。手も腕も頭もしずくに濡れ、タオルを探して拭きながら「今年は、綺麗な桜も、色とりどりのサツキやツツジも、流れる水の中に咲くカキツバタも見に行けなくて、長い冬眠のような日々を過ごしたのに、あっと気づくと、春は終わってて、夏を目前にした梅雨になっているではないか!」と毒づいてみたりもします。

ああ、梅雨の無いスペインは、すっかり夏で、みんなビーチを歩き、テラスで冷たいサングリアを飲んでいるんだろうな、と、ちょっぴり羨ましい気がします。6月16日には、フランクフルトとドゥッセルドルフから二機の飛行機がドイツ人観光客を乗せ、スペインのマジョルカ島に向かったというニュースが届きました。外出禁止例が解け、いざ、待ちに待った旅行です。そして、彼らの「新型コロナ禍でのバカンス体験テスト版」の結果はどうなったのでしょう? ニュースを探して見ると、ありました、ありました。25日にスペイン王と王女のマジョルカ島訪問があり、そこで国王夫妻がドイツ人ツーリストたちと面会する運びとなったのです。旅行者の滞在先のホテルがどのような新コロナ感染拡大防止対策をしているかを視察するのも目的だそうで、その際にドイツ人カップルと言葉を交わしたとのことです。「スペインをバカンス先に選んでくれて感謝します」「どうもありがとうございます。ようこそスペインへ」それぞれ国王夫妻からのお言葉が英語で交わされた、ということで、テスト版として行われたドイツ人観光客招致は大成功となったようですね。この後、PCR検査などが行われるのでしょうか? 無事、新コロナ感染拡大防止を成功し、経済も潤ってくることを望むばかりです。

最近のバルセロナの様子を尋ねてみました。内容は、日本とそんなに変わらないように感じました。何しろ、道ゆく人々はマスク姿。半年前のバルセロナとは想像もつかないもので、今回もサルバドールから「百聞は一見に如かず」の画像をもらっていますので、ご覧いただきますね。

マスク? ソーシャルディスタンス? 今では想像もできない会合ですね

ほんの数ヶ月前まで、マスク無しでも楽しい日々が続いていたのに…。2019年9月のバルセロナ市内

私がスペインに渡った1988年以降、マスク姿の人を見たのは病院のICUと歯医者さんぐらいで、町を歩いていてマスクの人を見ると、違和感があったものでした。もちろん、スペインの町でマスク姿の人を見る、というのは、日本人観光客に限られていました。これ、スペインの友達には、かなり興味津々で理由を尋ねられました。日本では普通に見かける日傘同様、お国が違えば文化も違う、ということですね。でも、本当にスペインではマスクの習慣がなかったのでしょうか?

マスクを身に着けているシアトルの警察官

いえいえ、そうではありません。後年になり「スペイン風邪」と呼ばれるようになったインフルエンザが世界中で流行したのは1918-1920年でした。その風邪についての情報は、最近のCOVID-19についての特集番組などでみなさんもご存知のことでしょうから、多くは説明しませんが、そのスペイン風邪流行時に、世界中皆マスク、となった時期があったのだそうです。写真を見る限り、立体加工でもなければ、鼻の部分にワイヤーが入っている、なんて感じには見えません。100年ほど前の医療・技術、そして情報などは、今の比ではなかったでしょうに、口と鼻をふさぐことによって病気を予防できる、というのは今とあまり変わりませんね。

サッカーの試合は開催されているけれど、無観客。日本の野球の試合に似ていますね。そして特筆するならば、週末(土曜・日曜)は、バルセロナ市内の2地区の道路を閉鎖し、車の通行を規制する、という試みです。その1つがサルバドールが暮らし、筆者も暮らしていたサンツ地区です。週末は、ソーシャルディスタンスを意識して、密を避けましょう、というのは、万国共通のようです。今年の冬から春にかけては、かなり厳しい外出禁止令が出ていたスペインですが、現時点では、かなり緩くなっている模様です。ただ、スペインであっても、日本であっても、地域性は否めないようですね。大都会と地方都市。

筆者の住む金沢ですが、Amor y odio(アモール・イ・オディオ=愛と憎しみ)という言葉が頭をよぎります。県外からの観光客のみなさん、お待ちしていますよ、という愛。その反面、県外から新コロナウィルスが入ってくるんではないか、という疑心暗鬼。もしかしたら、あと2年はこんな気持ちで生活しなきゃいけないのかしら? いつになったら、スペインの友達たちを日本に迎えることができるのかしら? そして、いつになったら4月にキャンセルになった筆者の里帰りの旅行が実現するのでしょうか?

暑すぎて、マスクはごめん、というポーズ?

このCOVID-19の話題から、そろそろ半年になるわけですが、まだまだわからないことだらけ。早く収束してほしいものですね。

今月のワンフレーズは、
¡Que salga el sol! (ケ・サルガ・エル・ソル)「さあ、太陽、顔を出して!」

やっと外出できるようになってきましたね。でも、まだまだ油断は禁物です。みなさんご自愛してくださいませ!

<写真協力>
Salvador Barrau氏