新川電機株式会社

大西 徹弥

ST製品企画部...もっと見る ST製品企画部

第三回は、引き続きワイヤレスが持つメリットと、新川電機製ワイヤレス製品の歴史・特徴についてご紹介いたします。

※前回はこちら『ワイヤレス技術を使った回転機械の振動監視 ~第二回 ワイヤレスを使うメリット①~

メリット4 回転機械の状態に合わせた測定

回転機械の状態を正確に把握するためには振動測定の頻度が重要です。例えば有線による監視システムの場合は、連続で振動測定できるため回転機械の状態を正確に把握することが出来ますが、第二回で述べたように有線の監視システムを導入するにあたり導入費用がネックとなるケースがあります。また、ポンプやモータなど転がり軸受で支持された回転機械は、何の前触れもなく急に故障するのではなく徐々に調子が悪くなり最終的に故障に至るという傾向にあるため、巡回点検で状態監視を行っているケースが多くみられます。

しかし、回転機械が数百台あるような大きなプラントでは数か月に一回程度の測定となり、せっかくの巡回点検時に異常兆候を見落としてしまう可能性があります。巡回頻度を高くしようとすると、作業員の確保やスケジュール調整、工数など検討しなければならない項目が多数あるため回転機械の状態に合わせて柔軟に対応することは困難であることが実情です。

ワイヤレスシステムは一般的に1日毎や数時間毎に振動データを収集するため、巡回点検より頻度の高い測定が可能です。また測定間隔を変更できる機能を搭載している場合には、振動値に変化がみられる回転機械のみ測定頻度を高くすることで、回転機械の状態に合わせた柔軟な状態監視が容易に実現できます。

メリット5 動く対象物における監視システム導入

ワイヤレス技術が発展したことに伴い、無人搬送車(AGV)やクレーン、ロボットなど動く対象物においても監視対象とする傾向にあります。このような設備には転がり軸受が多数使用されており軸受の状態監視を行うために振動を使った状態監視が有効です。監視システムを構築するにあたり、有線の監視システムはケーブルの敷設や電源供給の課題により導入が大変困難であるため、ワイヤレスによる監視システムが適用されます。ワイヤレスセンサを使用することで、ケーブルや電源供給の心配がなく設置することができ、状態監視を容易に実現することが出来ます。

新川電機製ワイヤレス製品の歴史

当社は、ワイヤレスによる振動監視の優位性にいち早く着目し、20年前よりワイヤレスシステムの開発を行い、2003年にスマートワイヤレスネットワークセンサ「SWiNS」の販売を開始しました。加速度センサで測定した振動の波形データを無線で伝送してPCで監視を行うシステムで、センサには無線送受信機を付けており、監視場所と離れているセンサに関しては、近接するセンサ間で通信を行い伝送するメッシュネットワークを導入しました。この製品は同年、アイデアと可能性・独創性に優れている製品として認められ、メンテナンス機器に関する新技術の開発を奨励しメンテナンス技術の進歩を促進すること目的として制定された賞「PM優秀製品賞 開発賞」(現TPM優秀商品賞 開発賞)を受賞しました。その後、小型化やバッテリー寿命、ネットワーク構成などの改善を重ね、2015年にSWiNSの名を継承し、現在販売しています「e-SWiNS」をリリースしました。本製品においても、2019年に「TPM優秀商品賞 開発賞」を受賞しております。2016年にはクラウド型モバイル振動監視システム「ZARK & Machine Dossier」をリリースし、現在、2つのシリーズを販売しています。

図1 ワイヤレス製品の沿革

新川電機製ワイヤレス製品の特徴

当社が販売しているワイヤレス製品の大きな特徴は、振動監視だけでなく異常兆候の検知とその原因調査が出来るという点にあります。たとえば振動値の大きさの変化によって回転機械に何か変化が起こっていることはわかりますが、どんな変化・異常が起こっているのかを判断することはできません。振動値の他に振動周波数の情報があることで、振動の原因が何かという情報を読み取ることが出来ます。

ここで、振動現象と異常原因を関連付けた一覧表を因果マトリックスと言い、これを表1に示します。例えば、不釣り合いによる振動は、回転数に同期した周波数成分である1Xの振動が発生することがわかります。仮に3,000rpmで回転している装置の周波数1Xは50Hzです。また、転がり軸受の内輪傷や外輪傷などの損傷が起こった時に発生する振動周波数は、軸受の諸元や回転数から算出することが出来ます。

表1 因果マトリックス

当社は2003年のSWiNS販売当初から、振動値だけでなく振動波形データや周波数解析(FFT)データを伝送することで振動解析を行い回転機械の異常原因を調べることが可能である点が大きな特徴です。

次回は、当社が現在ラインナップしているワイヤレス製品についてご紹介したいと思います。