スペイン語通訳・翻訳 スペイン語講師

杉田 美保子

スペイン・バルセロナ滞在 27 年を経て、2015 年に帰国...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在 27 年を経て、2015 年に帰国。
金沢市の北國外国語カレッジを中心に、スペインの生活とスペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでつながりながら、日本の生活も楽しんでいる。
京都のバルセロナ文化センターのスタッフとして、ますます活動の幅を広げていくべく、挑戦中。

スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。

あっという間に年が明け、令和も二年目に突入。今年もよろしくお願いいたします。今年はオリンピックも開催されるため、2月は29日まであります。これ、一日得をするのかしら?うるう年での調整しか行われない日本での時間の調整ですが、スペインにはこれが年に二回あるので、なかなか大変です。どういうことかというと、ヨーロッパはサマータイムが導入されているため、夏時間、冬時間が存在し、季節によって1時間の時差が生まれるのです。

年に二回も時間が変わる。めまぐるしい!

夏時間へは三月の最終日曜日に。冬時間へは十月の最終日曜日に、深夜にそれぞれ1時間ずつの時間調整が行われるのです。基本、日曜日はお仕事が休み、商店も休業、ということで、日曜日の深夜2時を目処に行われます。最近の時計は、電波時計であったり、スマホ、コンピューターなどはネットに繋がっていたりして、自動的に変更してくれますが、これ、十数年前ともなると、大変な作業でした。家にある全ての時計を1時間進める、1時間遅らす、という作業が、年に二回です。

サロン、キッチン、棚の上。時計は意外にたくさんある

小さい家とはいえ、玄関、茶の間、洗面所、キッチン、寝室、客間など、時計が置かれている場所はかなりあります。車の時計もしかり。電子レンジやオーブンにも時計が。日本では炊飯器にも時計がついていますよね。石油ファンヒーターにも時計があって、予約で点けたり切ったりできますものね。そうそう、ビデオデッキなんてのもありました。それらを年に二回、変えなきゃいけない、って想像してみてください。

止まってしまった装飾時計の代わりに、目覚まし時計。70年は経っているサルバドールのおじいさんの腕時計と、やっぱり目覚まし時計

この夏時間ですが、「来年のオリンピックのために2時間時計を進めよう計画」が持ち上がったのは、みなさんの記憶に新しいことでしょう。結局可決されなかったのは当然としても、「もし」そうなってしまったら、どういうことになるか、考えてみたことありますか?

トラムの券売機には、デジタルで時間が表示されている。

2018年11月30日、10:23。162は券売機の番号か?

目に見える時計、目に見えない時計、時間が重要なものって、案外たくさんありますよね。スーパーのレジ、電車などの切符券売機、その他諸々の機械の時計を進めたり、遅らせたり…。かなりアナログな筆者は、家中の時計をかき集めて、竜頭引っ張ったり、回したり、ボタン長押しや+や−の矢印押して時間進めたり、なんていう行程を考えるだけで、頭が痛くなります。そうです。どんなに注意しても、1時間間違える人は、必ずいます。それが、飛行機のパイロットだったりした日には、旅行がフイになることもあり得ますよね。

市民センターの壁にも

ホテルの壁にも

マゴリア旧駅舎にも

カン・バリョ工場団地跡にも

そう思ってバルセロナの町を見渡すと、かなりたくさんの時計があることに気づきます。そうです。ほとんどがアナログタイプ。壁にかかっているものもあります。これって、ハシゴに登って、時計を外し、1時間進めたり、遅らせたりするのかしら? 誰がその作業をするのかしら? あんな高いところまで届くハシゴ、年に二回のために所持しているのかしら? などなど、つまらない疑問が山のように湧いてくるから不思議です。

パレード後方に見える時計台はバルセロナ大学のもの

金時計はコミーリャス侯爵邸のもので、残念ながらサルバドールの家の品ではない

このコラムの協力者であるサルバドールに「バルセロナの町で見かける時計の写真を数枚欲しいんだけれど」と言うと、三倍以上の画像が送られて来ました。そして、近隣で行われたというスチームパンク展の写真も送られて来ました。やっぱり時計がたくさん。

スチームパンク展での様々な時計

暗くなると「夜かな?」とか、日が昇ると「朝かな?」とか。お腹が鳴ると「ごはんどきかな?」というアナログな体内時計も存在するのですが、今日は目に見える様々な時計の画像をご紹介しました。いかがでしたでしょうか?

「時間にとてもルーズである」というのが、残念なことに日本人から見たスペインの感想です。「Un momento(ウン・モメント、ちょっと待って)」で20分待たされたり、「Un segundo(ウン・セグンド、1秒待って)」が5分以上だったり、かなりの時差がここでも生じます。それを「スペイン時間」とでもいうのでしょうか?

そうそう、筆者が「スペイン時間」と考えているものは、実は今日のこのテーマ、夏冬の時間の変更とは全く関係ありません。じゃあ、どんなもの?それは、21時に夕食の待ち合わせをしても、なんやかんや遅刻をしてくる人が出てきて、その間おしゃべりに花が咲き、結局みんながテーブルに集まるのが22時すぎになり、そこからメニューを選んで注文。一品目が届くのが22時半、という習慣のこと。夕食前に軽く何かつまんでおかなければ、お腹空きすぎになります〜。それにしても、予約が21時で、全員の集合が22時。その後注文して、夕食開始が22時半って、スペインのレストランはなんておおらかな予約を取るのでしょうか? 「お客様は神様」というのは万国共通なのか、バルセロナでこのような夕食がたくさんあったけれど、レストラン側から苦情が出た、というのは一回もないのです。どこまでもおおらかなお国柄なのですね。

そして、金沢にも「金沢時間」なるものが存在するとのこと。これは、帰国した5年前に聞いた話です。こちらは、訪問を受ける相手のことを考え5分遅刻して到着すること、というらしいのです。なんだ~、私がスペイン時間にしっくり馴染むのは、この金沢時間のおかげなんですね! 遅刻も、思いやりなんですね!

今日のワンフレーズは、

¡Abrígate mucho! (アブリガテ・ムーチョ=ちゃんとたくさん着込んで!)

冬たけなわの毎日、くれぐれもご自愛のほど!