スペイン語通訳・翻訳 スペイン語講師

杉田 美保子

スペイン・バルセロナ滞在 27 年を経て、2015 年に帰国...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在 27 年を経て、2015 年に帰国。
金沢市の北國外国語カレッジを中心に、スペインの生活とスペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでつながりながら、日本の生活も楽しんでいる。
京都のバルセロナ文化センターのスタッフとして、ますます活動の幅を広げていくべく、挑戦中。

スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。

日本では「平成」から「令和」となり、10 日間ものゴールデンウィークも過ぎ、日常が戻って来ました。ここで率直な質問です。

『あなたは、この長い連休を経験した後、元の生活に戻ることって、できますか?』

10 日の休暇は長いか短いか? 10 日の休みは好ましいか否か? と言うアンケート結果がメディアで流れ、それぞれの立場から、賛否両論の意見が聞かれました。スペインも日本同様、こういう連休では、職種によって休める人、休めない人、休まない人など存在しますので、このアンケート結果はほぼ日本と同じになるでしょう。

お祭りだ、見本市だ

先日、バルセロナの友達からメッセージをもらいました。その内容は、「4 月 25 日から 5 月 7 日までの日本行きチケットを予約して、発券確定した後に、日本はゴールデンウィークだ、と気がついたんだ。今回は東京だけの滞在の予定。どんな問題が起きる?  お店なんか、連休だから全部閉まってるの?」と。

 

外国人視線での不安は、大連休に旅行先で、美術館、商店、レストランなどが全て閉まってしまうこと。

 

冗談ではないのです。スペインでイースターやクリスマスといった長期休暇には、お店を閉めて、みんながお休みする、と言うのが一般的だからです。「お客様が神様」ではないのですね。ただ、今回のゴールデンウィークのように、10 日も祝日になってしまうこともないので、いずれも 2-3 日の休業になるのですが。

 

週末で週休二日制が一般的なスペインでは、土日に家族でお出かけ、ということになります。でも、そんなに遠出はしません。町のあちこちでいろんなイベントが行われるのですから。

サンツ・ボルデタ地区にある「サン・メディール教会」と、その前に集まった住人たち

3 月 3 日には、サン・メディール(スペイン語でサン・メディン、303 年頃にいた農夫の名)のお祭りがあります。伝説の一つによると、時は、ローマ帝国皇帝のディオクレティアヌスによる「キリスト教迫害」の真っ最中、このメディールという農夫が 303 年頃、バルセロナの近郊「サン・クガット・デル・バジェス(Sant Cugat del Vallès)村」近くに住んでいたという伝説です。農夫がソラマメを蒔いている時に、サン・セベール司教(スペイン語でサン・セベロ)が迫害から逃れて通りかかりました。「迫害の手にかかる前に、自ら命を絶つことにした。追っ手が来たら、そう真実を伝えるように」と言い残した司教が畑を立ち去ると、蒔いていたソラマメがぐんぐん芽を出し始めたのです。

 

ほんの 20-30 分して、追っ手が畑のそばを通り、メディールを見つけますが、彼は司教に言われたように真実を話します。「司教は、私がソラマメを蒔いている時にここを通り、『迫害の手にかかる前に、自らの命を絶つ』と言い残して去りました」と。あたりは急速に成長したソラマメの蔓でいっぱい。さすがに、「ソラマメを蒔いていた時に」というくだんは、迫害者たちの逆鱗に触れたようで、「この嘘つきめ」と言われ、罪のない農夫、メディールは捕まることとなり、その後見つかったセベール司教とともに、死ぬまで幽閉された、ということなのです。

馬車には大量のキャンディーが積まれている

そうして、この農夫は司教をかばい、助けようとしたことで「聖人」となり、その伝説に沿って、今もお祭りが行われているのです。

 

筆者の住んでいたサンツ・ボルデタ地区には、「サン・メディール教会」があり、そこを中心にお祭りが行われます。バルセロナ市内では、他に数カ所でも行われるこのイベントは、3 月 3 日が平日であれば、その日に。その日が日曜日ならば、次の日 4 日の平日に行われます。なぜか、お祭りは平日に行われることになっているのです。でも、サンツ・ボルデタ地区のお祭りは、必ず 3 日の次の週の日曜日に決まっています。今年は 3 日が日曜日だったので、その次の日曜日 10 日になりました。

騎馬隊と鼓笛隊が街を練り歩く

馬や馬車(トラックの場合もあり)が装飾され、その上からキャンディーがばらまかれます。上記で伝説の一つをご紹介しましたが、他にも様々なバージョンがあって、時代の変遷によってソラマメがキャンディーに変わった、ということなのです。筆者がバルセロナに住み始めた 30 年以上前からすでにキャンディーがまかれていました。百聞は一見にしかず。画像をお楽しみください。

拾ったキャンディを入れるためのビニール袋を持って道路脇に控える女児。サリア地区では馬車でなく、トラック
キャンディをもらうために沿道に集まる子供達。袋いっぱいのキャンディーにご満悦
サラダ菜やイチジクなどの苗が売られている。自家製フルーツや野菜も

4 月には、第 24 回「Día de la Terra(地球の日=アースデー)」のイベントが行われました。

これは世界的に 4 月 22 日に祝われるのですが、バルセロナは先行して 13、14 日の週末に開催しました。「地球に優しい生活を」というスローガンを掲げ、毎年違ったテーマを決めた見本市が行われます。例えば、2011 年にはチェルノブイリ原子力発電所事故 25 周年記念をテーマとし、原子力電力の問題提起が行われたり、2012 年には再生可能エネルギーがテーマとなったのですが、様々なジャンルからの参加がある青空見本市なのです。

アースデーのための冊子も用意される。 地球を守ろう、というデモの写真が表紙だ

エスペラント語も紹介されている。

写真はジョアン・アラルコン(Joan Alarcón)先生

エコ志向だろう、古本も並ぶ。エスペラント語の講座のテキストも。

地球すべての人が言葉の壁がなく理解し合えるように、という願いを込めて

かなり増えてきた Ull Viu の製品と、その説明チラシ。 生産者の愛がこもっている

二年前に、田舎に引っ越し、有機栽培での野菜やニワトリを飼い始めた友人夫婦の話をしました。

スペインの知られざる文化 No.6

「有機栽培の野菜を食卓に!」をモットーとした

Ull Viu new_win_icon.png」です。

 

古い家に移り住んだ二人は、まず天井や床、壁などの補修を試み、その後野菜の瓶詰などの作業を行う仕事場を整え、という地道な作業をこの二年間で進めてきました。「趣味」ではなく、「プロ」として作った製品を本格的に市場に送るためには、スペインの保健省の基準で作業所を用意しなければならないのですが、この辺りの基準は、多分日本でも同じだと思います。そこで作り出された製品を、晴れて今年のアースデーの見本市に出店することになったのです。

近隣だけでなく、市内からたくさんの人が訪れた青空見本市。 週末にもってこいだ

こうやって、週末には様々なイベントが町中で行われ、たくさんの人々が散歩に出ます。スペインには、国を挙げての 10 連休は存在しないのですが、週末であったり、年間 30 日以上の有給休暇で、長期休暇を楽しみます。日本も、有給休暇取得のお達しが法律として出たようですが、無事みなさんも有給休暇を消化して、リフレッシュができるようになれば良いのですが〜。

¡A disfrutar de las vacaciones!

(ア・ディスフルタール・デ・ラス・バガシオネス、休暇を楽しんで!)

 

近隣だけでなく、市内からたくさんの人が訪れた青空見本市。

週末にもってこいだ

あ・・・。これを読む頃は、みなさん休暇を終えているのでした〜。

 

今月もありがとうございました!  来月も、どうぞ宜しくお願いいたします!

¡Hasta el próximo mes!

(アスタ・エル・プロキシモ・メス!=また来月!)

左:青い空の下、会場にはテント。中央:スローガンは、地球は私たちの命。右:野菜で作ったキャンドル
左:有機野菜が並ぶ。中央:コカと呼ばれる甘いパンたち。右:ハーブもたくさんの取り揃え
左:パエリヤが用意される過程。中央:ナッツ類も豊富に。右:パンも豊富に