スペイン語通訳・翻訳 / スペイン語講師

杉田 美保子

スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在27年を経て、2015年に帰国。
石川県金沢市でスペインの生活や、スペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでの繋がりが中心となっている中、余暇に畑を耕したりしながら、日本の生活も楽しんでいる。
京都のバルセロナ文化センターのスタッフとしても、どのようにしてスペイン語の面白さをみなさんに伝えられるか、日々模索中。

スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。

バルセロナの住人の多くが犬を飼っています。郊外の一軒家に住んでいるならば、庭もあって犬にとっても良さそうなものの、大抵は町中のアパート・マンション(一般に piso = ピソと呼ばれる)暮らしということになります。

日本のアパートというと、2LD だったり 10 畳ほどでワンルームのマンションだったり、犬を飼うには狭いのかな? とか小型犬なら良いのかな? などとイメージしてしまいますよね。

ワンちゃんも一緒にお買い物

バルセロナの住宅事情は多岐にわたっていて、新しい地区なのか、旧市街なのか、町の中心なのか、郊外なのか、によって住宅の大きさは変わります。実際、筆者の住んでいた Sants 地区一つ取っても、古い建物、新しい建物、リフォーム済みのもの、などなどがあります。賃貸で住んでいる場合、もしかしたら大家さんが「ペットはダメよ」ということもありますが、持ち家の場合、かなりの確率で猫、犬といった動物も家族の一員として住んでいます。

筆者の足元でくつろぎ、中庭ではしゃぐフラッシュ

畳の生活ではなく、タイル、大理石、フローリングの床に、基本靴を履いたままのライフスタイルなため、大きくても、小さくても、動物たちは家中を自由に歩き回ります。猫の場合、トイレさえきちんと管理すれば、家の中でのんびり過ごしているというのは、日本もバルセロナもおんなじなのですが、では犬の場合はどうなのでしょうか?

 

今の金沢の住まいの近所でも、犬を散歩させている人とたくさんすれ違いますが、サイズは小型が多いように思います。いくら庭があるとはいえ、冬は雪が積もり、夏は 40 度にもなると、ワンちゃんはお家の中で過ごすことが多いのだと思います。

 

でも、バルセロナは、というと…。

 

写真でジャンプを披露しているのはフラッシュ。バルセロナの母マリアの息子さんとお孫さんが数年前に保護犬の里親となったもので、息子さんが出勤中、お孫さんが学校に行っていて不在の時には、マリアの家に来てお留守番をする、というシステムになっています。

散歩に出たい、出たい、と飼い主にじゃれるフラッシュ

幸運にもマリアの家には中庭(patio = パティオ)があるので、好きに走り回っていられるのが幸運なのかもしれません。このフラッシュは、毎日の散歩に加え、週末の散歩も欠かさず、20 キロほどの散歩にも音を上げずについてくる、という元気な子です。ある日、迎えに来た息子さんの持っていた散歩用の首輪を見つけ、「早く外に連れて行って〜」とばかりに、その首輪をくわえようとジャンプしているところを連写。普段も、たまにしか遊びに行かない私にも「撫でて〜、撫でて〜」と近寄ってくるので、番犬としてはあまり役に立たないのかな?

 

さて、こういうたくさんのワンちゃんたち。町に散歩に出る時って、どんな時なのでしょうか?  例えば、日曜日の朝は、新聞スタンドに行き新聞の日曜版を買い、その新聞を持って Bar や Cafetería のテラスで新聞を読みながらコーヒーとクロワッサンで朝食をし、その後パン屋さんに寄ってお昼用のパン(pan = パン)を買い求め、そして家に戻る、という人を多々見かけます。そうすると、ワンちゃんもその朝の散歩のお供です。

朝、昼、買い物やゴミ捨て、町を散歩するワンちゃんたち(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)

新聞スタンドは広場などにあるので、ワンちゃん連れもオッケー。外にあるテラスならば、ワンちゃんもオッケー(たまに中にも入れる場合があります)。でも、パン屋さんはどうなんでしょう?

 

パン屋さん、スーパー、薬局、美容院、病院、などなど、一般的に動物は入れないところが多いです。もちろん、盲導犬はペットではないので、他のペットたちとは区別されているのは万国共通です。さすがのお犬ちゃん大好きのバルセロナでも、入ることができないところがあるわけです。では、買い物ついでにワンちゃんを散歩させよう、と考える飼い主たちは、どうするのでしょうか?

 

それが今月の写真です。

それぞれのお店が、目立つことなく、それでいておしゃれに、こういうワンちゃん連れのお客さまのために提供する「駐犬場」。いつかバルセロナにいらっしゃることがあれば、いろんなお店の入り口にも目をとめてみてください。思わず「クスリ」と笑っちゃうこと請け合いです。

T’espero aquí、カタラン語で「ここで君を待ちます」

十字架は薬局のマーク

(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)

薬局の入り口

(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)

Jo m’espero aquí

カタラン語で「私はここで待ってます」

(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)

パーキングマークにワンちゃん

見てそのもの

(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)

ドアの取っ手の下のフックは…

(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)

パン屋さんにもワンちゃんは入れない(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)

腸詰ソーセージが売りのスーパー、ここもワンちゃんは入れない(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)

カフェの入り口。ここでワンちゃんは待つ(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)

誰かの手書き、Perro(犬)

(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)

パン屋さんのロゴ入り

(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)

ここにも…

(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)

これは Bar の入り口。朝食のプロモーション「コーヒーとクロワッサン 1,8€」(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)

「パンのない場所には、犬でさえ寄り付かない」(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)

ワンちゃんポートより、「おっと! 私はガラスだよ!」の方がユーモアあり?(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)

奥さんのマリアロサさんの ワンちゃんもお使いについてきて、 スーパーの外で待ちます (写真協力 © Salvador Barrau Viñas)

もちろん、ワンちゃんの排便の始末のマナーが良くない飼い主など、まだまだ解決しなければならない問題はあるのですが、町中での動物との共生は、日本より進んでいるのでしょうか?  それは居住スペースの問題であったり、隣近所との兼ね合いであったりするのでしょうか?  全体的に住居が広い、石造りで防音効果が高い、などの理由なのでしょうか?

次の里帰りでは、もう少し詳しく研究しますね。

 

では、寒い毎日ですが、

「¡Abrígate, que hace frío!(アブリガテ、ケ・アセ・フリオ!)

= 着込んで、寒いですから、の意味)」。

その他のワンちゃんリング(写真協力 © Salvador Barrau Viñas)