社会リサーチ・サイエンスト、日本専門家活動協会理事 青山学院大学社会情報学部元客員教授

小畑 きいち

学歴:青山学院大学で経営学を学ぶ、東京電機大学大学院で都市工...もっと見る 学歴:青山学院大学で経営学を学ぶ、東京電機大学大学院で都市工学を学ぶ、
東京大学大学院で技術管理・MOT を学ぶ

職歴:米国系メーカーで、ソフト製品開発、コンサルタント、マーケティング、国際協働チームマネジメント、
カストマー・サポート統括、産学連携マネジメントを歴任

教育歴:工学院大学、浦和大学、東京大学先端研、早稲田大学(早稲田総研)、青山学院大学、東京電機大学などで非常勤、常勤、特任、客員など講師、研究員、教授などで従事

担当分野:システム工学、E-ビジネス、プロジェクトマネジメント、技術経営、社会情報、ユーザ・リサーチ、AI、空間計画(街づくり)、都市交通、都市社会、起業論など

近年、地域(地方)創生がうたわれ中央政府、各地自治体が施策・計画・事業を促進している。しかし多くの場合、その成果はまだら模様である。行政による、計画策定の枠組みの限界、地域における基盤・資源、地域人材、文化歴史環境、社会経済変化などの要因によって種々の対応が必要とされることが理由である。地域の既存要因に合わせた柔軟な発想と計画によって地域活性化が各地で促進されて地方創生が進むと考える。

3 回に分けてその現状を整理し、紹介する。

(1)地域(地方)課題の気づき

地方創生が注目され始めたのは、元総務大臣の増田寛也氏を座長とする「日本創成会議」の人口減少問題検討分科会が 『2040 年までに消滅する恐れがある市町村が 896 ある』との報告が発表されたことが切っ掛けである。2010 年の国勢調査に基づいた試算で、2040 年に 20~39 歳の女性人口が半減する自治体を『消滅可能性都市』と報告している。女性の減少が出生数を減らし、地域人口が 1 万人を切ると、自治体運営が成り立たなくり消滅するとした報告で、これによれば全国、約 1800 市町村のうち約半分が消滅することになり全国に衝撃を与えた。

 

日本の人口は第二次大戦後の 1945 年で約 7,200 万人、2015 年では約 1 億 2700 万人となっており、この 70 年間に約 2 倍弱の人口増加があった。この間、日本経済は復興経済、高度成長経済そして経済停滞からの復調と推移した。1980 年代の高度成長期から 1990 年代後半のバブル崩壊経済期をへて、2017 年には国内総生産(名目 GDP )は約 2 倍の約 549 兆円(約 4 兆 8721 億ドル)となり、ここ数年は微増傾向にある(図 1 参照)。

 

しかし、世界対比では、日本が占める名目 GDP はバブル経済直前では 17.7%(1994 年)占めたが、バブル経済崩壊により景気低迷で縮小が続き、復調傾向ではあるが、現在は 6.1%(2018 年)までに低下した。

 

世界経済に占める日本の地位が新興国シェア拡大などにより、製造業などでは地盤沈下が続いている。

図 1:日本の実質 GDP 成長率推移(%) 出典:内閣府ホームページ 国民経済計算より作成

識者の一部は、日本の企業は、バブル崩壊後はコスト削減一本の経営に走り、技術開発、人材開発、技術継承などへの将来を見据えた経営を失い、急速にものづくり日本の技術的優位性を失ったと論じている。

(2)社会構造の変化(収縮社会へ)

日本の人口は、2008 年の 1 億 2,808 万人をピークに減少に転じ、2016 年の合計特殊出生率は 1.44 と減衰し、人口増が見込まれず 8 年連続人口減が続いている。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、日本の人口は 2048 年に 9,913 万人と 1 億人を割り込み、2060 年には 8,674 万人まで減少すると見込まれており、縮小社会の到来となっている(図 2 参照)。

図 2:日本の人口推移 出典:内閣府ホームページ (https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/index.html)

これまでは、人口増、経済成長を基底とした GDP 成長を果たした日本社会も転換点を迎えている。この変化に最初に直面したのは、東京、関西、中京など大都市圏への人材供給供源である地方地域で、深刻な人口減少と高齢化が同時進行で急速に進みつつある。

 

地域経済の活性化、生活基盤の整備(子育て・福祉など)、就業機会の創成、地域協働体制、 まち・ひと・しごとの創生による地域基盤の持続的な維持などが必要となる。

 

一方、人口減少は全国的な現象であるため、今後大都市圏周辺も無縁ではない。大都市圏の郊外都市でも高齢化・人口収縮が進みつつある。これまでの高密度・消費優先社会から持続的社会への変換が急がれる。

 

 

参考:日本の将来推計人口(国立社会保障・人口問題研究所)