スペイン語通訳・翻訳 スペイン語講師

杉田 美保子

スペイン・バルセロナ滞在 27 年を経て、2015 年に帰国...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在 27 年を経て、2015 年に帰国。
金沢市の北國外国語カレッジを中心に、スペインの生活とスペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでつながりながら、日本の生活も楽しんでいる。
京都のバルセロナ文化センターのスタッフとして、ますます活動の幅を広げていくべく、挑戦中。

スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。

9 月も末になり、夏の暑さが秋の気配に変わる頃、故郷バルセロナを訪れることができました。

日本では連休が続き、兼六園の入園者数が倍増した忙しいさなか、旅行前に風邪をひいてしまいました。美声がダミ声となっての園内のご案内を旅行直前までこなし、旅行前日にはバルセロナから訪れた友人と利き酒をし、熱こそなかったものの、最悪のコンディションで機上の人となったのでした。

成り行きに任せて - Sobre la marcha

雪の多さよりも、 隣人がマスクをしている方が不思議と感じるらしい

機内ではマスクをして休んだのですが、ヨーロッパにはこのマスクをして風邪予防、風邪拡散防止、というコンセプトがないので、日本人のマスク姿にはびっくりされます。2 月の町内雪かきの写真を見た友人が発した疑問が、たくさんの雪ではなく、「この人、何で口を隠しているの?」だったことから、彼らの目にはかなり異様に映るようです。それを知っているため、ロンドンに到着後からはマスクは使用しないことにしました。

 

20 数時間、3 機の飛行機を経て、バルセロナに定時に到着。今回も、お世話になるのは昔住んでいたアパートの大家さん(バルセロナの母の一人)宅。迎えに来てくれたのは、「スペインのゆとり、日本のゆとり 1〜6」でも度々登場し、巡礼の旅を続けている親友の P さん。22 時 20 分に到着、再会のハグのあと、ここ 10 ヶ月の近況話しが始まり、家に到着、午前 1 時近くまでおしゃべりが続いたのです。

膝の痛みを抱えるお母さんは、たまたまその日にブロック注射を受けたため、1 日安静に横になっていたので、夜は会わずに直接部屋に入り、久々に手足を伸ばして寝ることができました。ただ、襲ってくるのは時差ボケ。

朝 7 時半を過ぎないと明るくならないバルセロナで、5 時に目覚めると、1 日がとっても長く感じます。それでもうとうとし、8 時には通いのお手伝いさんが来たため、お母さんと Café con leche(カフェ・コン・レチェ=カフェオレ)と Bizcocho(ビスコチョ=パウンドケーキ)の朝食をとり、活動開始です。

 

普段なら、出発前に友達とコンタクトを取り、おおよそ会える日を決めてからの里帰りとなるのですが、今回の出発前の風邪でダウン、という事件(!)によって、全てが「Sobre la marcha(ソブレ・ラ・マルチャ=成り行き任せ、行き当たりばったり)」となっていくのです。では、今回のテーマ、成り行き任せ、のバルセロナ里帰りを、36 時間、普段よりディープに、かなり突っ込んでご紹介することにします。

9 時半:行きつけの薬局に行き、処方箋のいらない常備薬を数種購入。左耳が着陸後半日以上たっても、とっても遠くでしか音が聞こえない状態で、早く風邪の症状をやっつけないと、いう気持ちだったのです。

三人とも「長」のつく役職だが、部下はいない

10 時:二ヶ月前の「終身雇用? いえいえ、突然解雇で、はい、おしまい」でお話しした、筆者が昔勤めていた Fotogramas の生き残りメンバーを突撃。受付を通り、9 人が「突然解雇」となった後の閑散としたオフィスを横目に見ながら奥に進むと、いました、いました、生き残り!  編集部の生き残り一名の他に、IT 部門、アーカイブ部門にそれぞれ一人人員がいるのですが、彼ら三人で、母体会社の支社メンバーたちと共に日々仕事をしているのを見ると、2005 年の入社当時 40 名以上の同僚がいたことが嘘のようです。

久々の再開を祝し、 タパスで昼食の元同僚 DTP デザイナーたち

11 時:三人と写したセルフィー写真は、瞬く間に元同僚たちに拡散され、「あ、美保子、バルセロナに着いたんだね!」のメッセージが飛び交います。解雇の数ヶ月前に職場近くに越して来たデザイナーにメッセージを送ると、「カロルと会うことになっているの。うちに集合で、その後ランチはいかが?」との返事。うううん、ついている!  一度に二人に会える〜。

タパスと呼ぶには、量が多すぎ。 今日もダイエットできないと嘆く

13 時 45分:ガリシア料理のレストランで、タパスをつまみながらの昼食は、昔話に始まり、現在の心境や環境の変化、未来のビジョンと、次々に話が弾み、気がつくと 15 時。そろそろお開きです。「じゃ、帰るまでにまだ 10 日はあるから、会えたら会おうね!」という挨拶でお別れです。

15 時 5 分:家に戻ると Wi-fi(スペイン語ではウィーフィーと呼びます。可愛いでしょ?)につながり、しばらくするとメッセージアプリ経由で電話が鳴りました。「今仕事終わった」。朝からメッセージで会いたい旨を伝えていた友人が、仕事の後にメッセージを読み、連絡をくれました。「ねえ、今からサンツ駅で会わない?  一杯行こうよ。」ということで 17 時半に集合です。

17 時 35 分:家を出ると Wi-fi 環境を探すのが難しいので、まるで家電の時代のように、時間と場所をきちんと決めて行動をしなければならないのが、ちょっと「成り行き任せ」にできないところなのですが、すっかりスペイン人化している我々は、5 分の遅刻は遅刻のうちに入っていません。「19 時半ぐらいを過ぎた頃、Koyuki に電話を取りに行かなければならないの。ぶらぶらしましょ」と街を歩き出しました。

 

18 時 10 分:ここ 10 ヶ月の間の報告は歩きながら済ませ、腰を落ち着けたのが小綺麗なレストラン & バル。ビールとワインで乾杯!  友達が健康管理のために行き出したというプール、この日はお休みさせてしまいましたが、そのあたりも「昨日行ったから、大丈夫」と、彼女も成り行き任せにお喋りに付き合ってくれます。

小綺麗な割に、頼んだのはディープなカラコレス

19 時 50 分:開店前の Koyuki に行くと、「ほれ、さっき届いたよ」と電話を渡してもらいます。そうです。筆者の電話はプリペイド式に変更し、バルセロナ在住の友達ライアに預けてあるのです。ただ、ライアとは「Una mica de Japó」というレストランに届けるようにお願いしてあったのですが、すっかり忘れ、日本行きへの飛行機に乗ってしまい、シンガポールから「美保子。ごめん。電話を届けるのを忘れてた」とメッセージが入って来ていたのです。

ライアに代わり、彼女の猫の世話をしている友達が、「Koyuki」になら持っていけるよ、ということで、急遽、成り行き上、受取場所が変わったというわけなのです。

 

20 時 20 分:メトロで移動、帰宅すると、P さんが玄関でお待ちかね。

「実はね、私たちの家の裏通りに『こぶた』っていうラーメン屋さんができたって記事を読んでね。行ってみたいんだけれど、美保子、一緒に行ってくれない?」と言われていて、20 時 30 分に予約を入れていたのです。

20 時 40 分:R さんを入れて、三人でテーブルを囲み、ラーメンの説明です。

久々の再会を祝して! 夜しっかりと会話を楽しむ食事スタイルと、 さっさっと食べて立ち去るラーメン。共存できるか?

「これ、美保子、作り方わかる?  家で作りたいの」というので、いやいや、こういうラーメンは家では作らず、ラーメン屋さんに出かけて食べるってのが普通なんだよ、と言うものの、握り寿司の時も同様、どうしても家のパーティーで出したいと言われることが多いのが、外国で有名な日本食。

いやいや、握り寿司はね、家では作らないんだよ。お寿司屋さんに行くか、出前で持って来てもらうかするんだよ、と、何度説明しても、それでも「作りたい!」というのが、今回は豚骨スープのラーメン。数あるインスタントラーメン、どれを持って来ても、美味しいラーメン屋さんの味は出せない、と思うのですが。

ちょっとおしゃべりが足りないよね、と、テラスでもう一杯

22 時 20 分:「なんかサァ、バルセロナ到着からまだ 24 時間なんて、信じられないわ」と言いながら、里帰り 1 日目を満喫。ただ、水曜日なので、まだ木、金曜日と仕事のある友人が大半。早めに切り上げ、¡Buenas noches! (ブエナス・ノーチェス=お休みなさい)

ウィンドのものも美しいけれど、 実際履いているところが見たい、と、 店員さんの足元をチェック!

翌日、11 時 15 分:午前中のシフトの友人たちには、午後行っても会えないのを知っていたので、突撃! Alpargatas(アルパルガタス、日本ではエスパドリーユ)という靴を製造販売している友人夫婦に会いに行き、今年はどれにしようか、あれこれ悩み、大人買いをしてみました。

このバルセロナ中心部にある Manual de Alpargatera という老舗は、手作りをモットーに、一つ一つ丁寧に作られた Alpargatas を販売しています。そのため、形やサイズもほぼ同じものがなく、一足一足試して、足に合ったものを購入するため、時間がかかります。でも、店内はひっきりなしにお客さんが出入りし、店員さんも上を下への対応をすることになりますが、ベテランの店員さんたちの目は的確で、「あ、あなたのサイズはそれね」とか、「あ、それは大きすぎるわね」とフレンドリーです。ここでもオーナーと朝食に。古くからの共通の友達もいるので、ざっと近況を報告し、「じゃ、また帰るまでにフラッと寄るわね」と約束し、昼食のために帰宅をしたのでした。

昼食までが長いので、11 時半頃にボカディージョ。

帰りは歩いて帰らなきゃ、カロリーが…

時間がいくら有っても足りない里帰り。やはり、お仕事をしている友人が多いので、夕方以降しか約束ができません。なので、こうやって「成り行き任せ」で会ってくれる友人というのはありがたいものです。次はもっと計画的に、と毎回バルセロナを去るのですが、こんな「成り行き任せミーティング」がうまく行くのなら、これからも無計画っていうのが私らしいのかもしれませんね。

 

台風が何事もなく通過して行きますように!

 

¡Nos veremos el próximo mes!

(ノス ベレモス エル プロキシモ メス)

来月、お会いしましょう! という意味。