スペイン語通訳・翻訳 スペイン語講師

杉田 美保子

スペイン・バルセロナ滞在 27 年を経て、2015 年に帰国...もっと見る スペイン・バルセロナ滞在 27 年を経て、2015 年に帰国。
金沢市の北國外国語カレッジを中心に、スペインの生活とスペイン語の楽しさを細々と伝授中。「故郷」バルセロナとはリモートでつながりながら、日本の生活も楽しんでいる。
京都のバルセロナ文化センターのスタッフとして、ますます活動の幅を広げていくべく、挑戦中。

スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。

寒い北陸を脱出し、温暖なバルセロナに来ています。久々の故郷でのクリスマス・年末年始です。

Navidad(ナビダー)はスペイン語、Nadal(ナダル)はカタルーニャ語、しかしやはり「Christmas」と言う言葉もスペインを始め、世界各国で使われています。キリスト誕生、そして、年明け 1 月 6 日は東方から三賢者がやって来て、誕生を祝う、と言うことで、二週間以上もクリスマス期間が続きます。

クリスマス時期は、どこにいっても素晴らしい景色が楽しめる。オリンピックポートにて

クリスマス? スペインでは「ナビダー」、カタルーニャでは「ナダル」

町中には、このクリスマスをモチーフとした飾りが、いたるところに現れ、それを見るために行列ができたり、入場料を払ったり、写真に収めたりと、とても賑わいます。ただ、外国人の目から見ると、とても不思議な飾りもあったりするので、今日は少し解説をしていこうかな、と思います。

カタルーニャ地方の場合、まず、12 月 24 日には、サンタクロースではなく、ティオ(Tió)がプレゼントを持って来る、と言う事実。それも・・・。

ティオ(Tió)と言う丸太でできた人形。棒で叩き、「カガ・ティオ(Caga tió)うんこしろ!」と囃し立てる

12 月 8 日の無原罪の御宿りの日から、Tió de Nadal(ティオ・デ・ナダル:クリスマスの丸太)が登場します。赤い Barretina(バレティーナ、カタルーニャ地方独特の羊毛の帽子)をかぶり、毛布を被った状態で、おうちに設置されます。子供達は毎日 Tió にミルク、クッキーなどの食べ物をお供えし、翌朝にはそれらは食べ・飲み干され、またまた夜になると子供達がお供えをし、というのが繰り返されます。もちろん、子供達が眠った後に、大人がお供えを空にしておく、と言うのがカラクリです。

 

12 月 24 日の夜、もしくは 25 日に、子供達は棒きれを持って、クリスマスの歌を歌いながら、Tió を叩きます。「Caga Tió(カガ・ティオ)」というのが、「丸太、うんこしろ」という意味で、毛布に隠れたお尻あたりからプレゼントが見つかるので、「うんこしろ」ということになったのだそうです。子供の見ていないところで、毛布の下にプレゼントを隠すのも大人の役目で、甘いキャラメルや小さなおもちゃがもらえるのがこの日だそうです。ちなみに、現在の可愛いお顔と帽子は、近年になってつけられたもので、昔はただの丸太だけだったそうです。

 

次に街角で見かけるのが、ベレン(Belén)またはペセッブレ(Pessebre)と呼ばれるクリスマスの飾りです。

サイズは、小テーブルに乗っかるものから、庭全体を使うものまで、様々です。テーマは多岐にわたり、クリスマスの二週間の物語からいろいろなシーンを選び、作り上げます。

サグラダファミリアの「誕生のファサード」はペセッブレ、 まさにキリスト誕生のシーンを表したものだ

そして、他にも人々が集まるのが、ランブラス通りのベレン教会の横のペセッブレ展示会場です。今年 55 年を祝ったこのグループの活動は、単にクリスマス飾りを作る、というだけではないのです。ここか?  という入り口を入り、階段を降りると、受付があり、「入場料 2,5€」と言われます。お金を払うとカーテンから中に入る、というのは、昔の遊園地の「お化け屋敷」の入り口と似ています。

中に入ると、薄暗い部屋に、幾つもの舞台が作られ、それをガラス越しに覗くという趣向です。

 

10 ほどの舞台を覗くと、いろいろなキリスト誕生のシーンが楽しめ、また、その当時の馬小屋の様子や、農民たちの畑、使用していた農具や食器などがいたるところに登場します。と、今までは、漠然と眺めていたのです。ただ、今年は違います。このコラムで説明しなければ、という使命感および興味にくすぐられ、受付の人に質問です。

 

「このプレートを見てみて。この中の 1 人が、来年 91 歳になるんだけれど、この会が発足されて55年、一度たりとも欠席せず、55 年間欠かさずペセッブレを作ってきたんだ。発足当初は 10 人だった作者が、今は見ての通り 5 人さ。老齢化が進んでいるのは、どの世界も同じだね」

同じベレンでも、バルセロナ大聖堂の中庭のものはリアリズム(左)。 市庁舎のあるサンジャウマ広場のものは、アブストラクト
階段を降りると、展示会場。5 人の作家の名前が
ウエスカ県の Montañana 村の実際の風景

漠然と見ていたペッセブレですが、話を聞いてびっくり。

 

「ここにある 10 ほどのペッセブレは、9 月ぐらいから現場で製作が始まるんだ。で、これらの舞台、何を参考にして作るかわかる? 実は、ここに出てくるキリストの誕生のシーンの舞台は、実在するんだ。会員たちは 5 月から 6 月にかけてスペインの様々な村々を訪れ、実際に存在する町並みを取材し、ここに忠実に再現するんだ。ほら、これがその町の一つさ。Motañana という村。」と言い、写真を見せてくれました。

「ほら、去年の会報の写真、見てごらん。綺麗にできているだろ?  普通、9 月から作られる舞台は、クリスマスが終わると、全て粉々に壊しちゃうんだ。なんと言っても、石膏で作り、そのあと色付けをするわけだから、次の年のために場所を確保しなきゃならない。ただ、この写真の舞台だけは、あまりにも美しくできたので、今年はそれをそのまま残し、少しアレンジして、雪化粧にしたんだ。それが、青いネオンで照らされたものさ。ご想像通り、二度と同じものは飾らないのさ。」

左が去年の作品。右が雪化粧された同じ舞台
想像だと思っていた舞台は、実は今もスペイン各地に残っている

そしてやはり毎年恒例が、クリスマスリース。最後に、筆者の友人エリセンダさん(https://www.instagram.com/elisendabachs/)の作品をいくつか紹介し、2017 年のクリスマスとはお別れです。2018 年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

フェリス・アーニョ・ヌエボ(Feliz Año Nuevo)。新年明けましておめでとうございます。
手芸好きなエリセンダさんの作品には、ワインのコルクが使われていたりと、そのアイディアにはハッとさせられる