アイソレーションしたノイズ防止素子を開発実用化した障害波遮断変圧器です。

分離絶縁した 2 コイル間の、原理的にシールドだけでは防止できない高周波の磁束成分を除くことによってノーマルモードを遮断し、それによってコモンモードもより完全に防止することができます。ノイズ源と被害側の電気回路を（高周波的にも）分離絶縁してしまうので、防止効果が高く信頼性に富んでいます。

分離絶縁形である障害波遮断変圧器《ノイズカットトランス》 は、それに応え最悪の電磁環境下でもノイズ対策の「切札」となります。

《ノイズカットトランス》は単なるシールドトランスではありません。

● 絶縁トランス:１次－２次間の伝導がない。

● シールドトランス：１次－２次間の伝導と静電結合がない。

● ノイズカットトランス：１次－２次間の伝導と静電結合と高周波の電磁誘導がない。

特徴

• 回路をアイソレートすることができ、良好なノイズ減衰率を持っています。
  ノイズ減衰率が高いだけでなく機器・装置・システム全体の回路を細分することにより、寄生振動などの 2 次的ノイズの発生や放射による伝播を抑制し、全体の回路をノイズに対して強化する働きをします。
• 回路のグランド電位の相違に対応でき、接地できないところでも効果的に使えます。
  コイル間が高周波的にも絶縁されており、独立した 3 重の電磁遮蔽体を備え、ノイズ発生源側・取付け側・被害器側の各グランドに任意に接続できることによって、各グランドの電位が相異し、また動揺しているところでも防止効果を失いません。
• インピーダンス整合の必要がありません。

  隔離形ですから、装着相手と回路合成されにくく、特性の変化がわずかで、それだけ対策の確実性が高くなります。

  これは、どの様な回路定数を帯びた相手にでも対応しなければならない電気系に用いるには特に重要な利点です。

• 漏洩電流の心配がありません。
  ごく微小の基本波漏洩電流しかありません。人体に対して安全で、漏電ブレーカを動作させるような失敗もありません。
• 広い有効周波数帯域幅を持っています。
  コモンモードではどのような周波数にも有効です。ノーマルモードでは数 kHz 以上（1GHz まで実測確認できおります）の周波数に有効です。従って予想できないランダムなノイズに襲われても有効に働きます。
• 特性が対称的で双方向に効果があります。
  構造が対称的ですから、ノイズの通過の方向によって効果が変わりません。従って被害機器に用いても発生源に用いても、被害機器であると同時に発生源である場合でも、1 個のノイズカットトランスで間に合います。
• 逆効果を生じません。
  高周波を遮断すると同時にできるだけ損失させるように製作し、鋭い局部共振現象を抑えてありますので、広い周波数帯のどこかで振幅の大きな直列共振現象を起こして大きなノイズ障害を引き起こすような失敗の恐れがありません。
• カスケード（積重ね）の効果が顕著です。

  バリスタ・アレスタ・ツェナーダイオードなどは動作電圧の低い方の 1 個だけで効果が決まり積重ね効果はありません。

  また LC フィルタでは積重ねても合成されて新たな特性を持つひとつのフィルタとなり、必ずしも効果が増すとは限りませんが、ノイズカットトランスではほぼその数の剰数で効果が上がります。例えばシールドルームの内壁と外壁に装着し、カスケードに結ぶと極めて良好な結果が得られます。

特徴的なノイズトラブル事例

ノイズ防止の視点からのトランス分類

【性能の比較におけ表記記号】
○：防止できる、△：わずかに防止できる、×：防止できない    注：1次、2次間の導通を絶つ機能は同じです。

※《ノイズカットトランス》は、株式会社電研精機研究所の商標です。

※ 記載の波形・図表・写真・文章など著作権は電研精機研究所に帰属いたします。