軸受内のグリースや潤滑油に含まれる金属摩耗粉を測定し摩耗状態を確認できる磁気バランス式電磁誘導法による鉄粉濃度計です。振動法では診断が難しい超低速回転機(100rpm 以下)から高速回転、衝撃機械、負荷変動の多い回転機械まで、軸受の摩耗状態を簡易診断および傾向管理ができます。

ポータブル(重量 480g)、サンプルグリースやオイルを挿入するだけの簡単操作で現場測定ができます。

超低速回転機(100rpm 以下)から高速回転まで、軸受の摩耗状態を簡易診断。しかも軽量、ポータブル。

SDM-72
グリース鉄粉濃度計

SDM-73
潤滑油鉄粉濃度チェッカー

特徴

  • 振動値が高くなる前の段階での摩耗状態が確認可能。
  • 低速回転機・可変速回転機の軸受診断に有効。
  • サンプルグリースやオイルを挿入するだけで簡単測定。
  • ポータブル(重量 480g)だから現場で測定可能。
  • 最小分解能 0.001%(Wt)の微量検出が可能。(SDM-72)
  • 最小分解能 1ppm(Wt)の微量検出が可能。(SDM-73)

用途

  • グリースまたはオイル潤滑の軸受、歯車などの摩擦状態の簡易診断および傾向管理(振動法では診断が難しい低速回転機械、衝撃機械、負荷変動の多い回転機など)。
  • フェログラフィ法※1、SOAP 法※2 の事前予備診断。

※1 フェログラフィ法:定量フェログラフィーの場合は使用油に含まれる大きな粒子(5μm以上)と小さな粒子(2μm以下)の各濃度を調べることによって機械の診断を行う分析法です。

※2 SOAP(Spectrometric Oil Analysis Program) 法:潤滑油中の摩耗粉を分光分析し、金属元素成分とその濃度を調べることによって機械の診断を行う分析方法です。

仕様(抜粋)

 型式  SDM-72  SDM-73
 測定原理  磁気バランス式電磁誘導法
 測定対象  グリース中の鉄粉濃度  潤滑油中の鉄粉濃度
 測定範囲  0~5.00%(Wt)  0~19999ppm(Wt)
 最小分解能  0.001%(Wt)  1ppm(Wt)
 サンプル量  約 0.8ml  1.5ml
 電源  単 3 形アルカリ乾電池 4 本または AC アダプタ
 連続使用時間※1  25℃ にてアルカリ電池使用の場合 約 30 時間
 使用温度範囲  0℃~40℃
 外形寸法  W84×H190×D40mm
 質量  約 500g

※1 環境条件、使用条件、保存期間、電池メーカーなどにより異なる場合があります。記載事項は性能向上のため、予告なく変更する場合があります。

検出原理

原理図

磁気バランス式電磁誘導法は、検出コイルの両端に励磁コイルを配置し、2 つの励磁コイルによる発生磁界が検出コイル付近で互いに打ち消されるように構成した磁気回路センサです。

通常、検出コイルには誘導電圧は発生しませんが、一方の励磁コイルに鉄粉を含んだサンプルグリースを挿入すると、磁気バランスが崩れて検出コイルに誘導電圧が発生します。この誘導電圧によりグリース中の鉄粉濃度を測定することができます。

[特許3377348]

参考資料

【潤滑油中鉄粉濃度の傾向例】

化学工場に設置されている強制潤滑大型減速機の潤滑油中鉄粉濃度 5 年間の推移例を示します。30ppm 以上の温度が検出された機械では、ギアー歯車にピッチングなどの何らかの摩耗が確認されています。

大型減速機潤滑油中の鉄粉濃度 5 年間の推移例