株式会社 真経営 代表取締役 女性活用コンサルタント

早川 美由紀

<保有資格>
中小企業診断士/キャリアカウンセ...もっと見る
<保有資格>
中小企業診断士/キャリアカウンセラー(CDA)/ワークライフバランス加盟コンサルタント

女性社員の意欲と能力の開発、上司である男性管理職のマネジメントスキルの開発、人それぞれの持ち味を活かす風土づくりをサポートしている。

化学品メーカーのライオンにて、営業・販促企画・人事を経て、妊娠 8 か月の時に中小企業診断士を取得し、独立。2007 年(株)真経営設立。

人材・組織課題で関わった企業は 300 社超。その中で女性の能力を活かしきれない会社、仕事か家庭かに悩み可能性を閉ざしてしまう女性社員、女性社員のマネジメントに戸惑う男性管理職を多数目の当たりにし、会社・女性社員・男性社員の三方よしへのサポートを始める。女性社員活用をトリガーに、誰もが持てる力を発揮でき、過去のやり方や価値観に縛られないイノベーティブな会社を増やしていくことを目指して奔走中。

今年の 4 月から女性活躍推進法が施行されますが、ますます女性活躍支援の機運が盛り上がっていくように思われます。皆様の会社では、施行に向けご準備は順調でしょうか?
なんだか盛り上がってはいるものの、どうすりゃいいの? とそれぞれの立場で思われている方々も多く、何かのヒントになれば幸いです。

私は、女性活躍推進のご支援をさせていただいておりますが、これまで、企業様向けに人材育成のお手伝いをしていく中での以下のような経験が、ご支援を始めるきっかけとなっています。

管理職研修で企業様にうかがうと、会場はだいたい黒かグレー。「今日は女性はどこにいるかな??」と探すことも少なくはありませんでした。業種によって多少の差はありますが、女性が会社の意思決定の場にはなかなか参加できていない現実です。構成人数の 30% を少数派が占めると意思決定に影響を及ぼすと言われていますが、多くの会社は自ら変化するきっかけを創れきれずにいます。

また、男性管理職の方々からも女性部下についての指導や処遇の悩みをうかがうことが多くありました。現場ではマネジメントやコミュニケーションの問題を抱えています。

一方、女性社員の方々の話をうかがっていると、優秀な人 = 出産などで辞めずに頑張る とは限らないということが分かってきました。これは、働き方や評価、組織風土、キャリア設計の問題につながっています。

会社も男性管理職も女性社員も、三方よしとなるために、絡まる問題を断ち切れないかと思ったのと同時に、女性活躍をトリガーに諸問題を解決しながら、より強い会社創りをご支援したいと思ったのがきっかけです。

女性活躍推進の背景 ~日本の状況~

少子高齢化と言われて久しいですが、日本にとって、とりわけ深刻なのが労働力人口の減少です。

アベノミクスの「新 3 本の矢」の中でも、その背景として、労働政策(女性、若者、高齢者の労働市場参加の実現)と子育て支援政策を同時に取り組まなければ、中長期的な経済発展を支える労働力の確保が困難になると言われています(2014 年の労働力人口 6,587 万人に対して、2050 年には 4,228 万人になると予想)。

特に、就業を希望しながらも働いていない女性は約 300 万人に上ります。第 1 子出産を機に約 6 割の女性が離職するなど出産・育児を理由に離職する女性は依然として多い状況です。また、再就職した場合、非正規雇用者となることが多く、女性雇用者の約 6 割を非正規雇用者が占めています。

そんな中、ここ 10 年ほどで、大企業を中心に育児休暇や時短勤務などの制度の整備が進み、女性社員の離職率が改善した企業が数多くみられます。その一方で、会社の過剰な配慮のもと、責任ある業務から遠ざかることで、昇進を望まず細く長く働こうとする女性の意識を創ってしまっている現状もあります。

このように日本の多くの企業で、女性にとっての「働きやすさ」を高めることから、「働きがい」をいかに高めるか、持っている力をどれだけ発揮させられるかに今後の重要な課題がシフトしています。

特に、管理的立場にある女性の割合は約 11% で、前述の 30% を少数派が占めると意思決定に影響を及ぼすというレベルからは大きな乖離が見られ、ここ数年で政府・企業が本気で取り組むべき課題になっています。

今年 4 月から女性活躍推進法が施行されます。常時雇用の労働者 301 人以上の企業は、女性の活躍に関する状況把握と課題分析、行動計画の策定・届出等が義務付けられています。
常時雇用の労働者が 300 人以下の事業主については現在のところ努力義務となっていて、積極的な推進が望まれています(ゆくゆくは義務付けとなっていくと思われます)。

女性活躍推進はいい迷惑?!

会社として女性活躍があまり進んでいなくても、社員の方々に訊いてみると、「うちは既に女性が活躍している」という場合もが少なくありません。
「女性活躍は女性の問題」「子供がいないから関係ない」「別に活躍したくない」などという声もよくあります。

つまり、『わたしは関係ない! 特に問題なし!』そんな中でいろいろな施策や課題が自分の身に降ってきたら、本当にいい迷惑な感じですね。

しかし、女性活躍推進で取り上げられる、例えば、働き方の問題は、ミドル社員の介護離職やメンタル不全へとつながっていたり、職場のコミュニケーション不全は若手社員の退職や職場全体の生産性ダウンにつながっています。本当は皆、当事者です。

さて、皆様の会社では、以下 3 つは明確ですか?

  • どんな組織を目指すのか?(ビジョン)
  • 女性活躍推進になぜ取り組むのか?(目的)
  • いつまでに何をどれのレベルまで達成するのか?(目標)

目標数字だけを追いかけるのではなく、推進の納得感と当事者意識をもてることが大切です。女性活躍推進の本質は、未来に向け会社が勝ち残るための「全員活躍推進」だからです。

次回は、変化を求められる現場のマネジメントについて触れて参りたいと思います。