株式会社 真経営 代表取締役 女性活用コンサルタント

早川 美由紀

<保有資格>
中小企業診断士/キャリアカウンセ...もっと見る
<保有資格>
中小企業診断士/キャリアカウンセラー(CDA)/ワークライフバランス加盟コンサルタント

女性社員の意欲と能力の開発、上司である男性管理職のマネジメントスキルの開発、人それぞれの持ち味を活かす風土づくりをサポートしている。

化学品メーカーのライオンにて、営業・販促企画・人事を経て、妊娠 8 か月の時に中小企業診断士を取得し、独立。2007 年(株)真経営設立。

人材・組織課題で関わった企業は 300 社超。その中で女性の能力を活かしきれない会社、仕事か家庭かに悩み可能性を閉ざしてしまう女性社員、女性社員のマネジメントに戸惑う男性管理職を多数目の当たりにし、会社・女性社員・男性社員の三方よしへのサポートを始める。女性社員活用をトリガーに、誰もが持てる力を発揮でき、過去のやり方や価値観に縛られないイノベーティブな会社を増やしていくことを目指して奔走中。

今回はコミュニケーションと学びについて、お話ししたいと思います。

「背中を見て覚えろ」という言葉が死語になったようです。言葉ではっきり伝えないと、仕事のノウハウや技術を若い世代にはなかなか理解してもらえないようになったとよく聞きます。

言葉にして伝える大切さ

物心ついた時に、すでに携帯電話があり、日常の連絡はLINEで。

私の世代とは、全く違う環境で生まれ育ったのですから、コミュニケーションのスタイルが違って当然。
コミュニケーションは深くて難しいものですね・・・。

今までの日本は奇跡的な同質性の中で、成長を遂げてきました。男性中心で、同じような仕事観を持つ人たちでメンバーは構成されていたので、敢えて言葉にしなくても、理解し合えて当然でした。

その感覚を引きずったまま、コミュニケーションをとろうとしても今はなかなかうまくいかないことが多いです。

職場のメンバーの価値観はこれからもどんどん多様化していきます。
女性活躍推進の動きは、「自分にとっての普通」が通じない相手とのコミュニケーションを学ぶよい機会なのかもしれません。それは、男性側も女性側も。

「違い」から生まれるもの

ところで、私は、スキルアップのため、様々な方々が集まる公開講座を受講することも多いのですが、とても印象的だった講座体験についてお話したいと思います。

この講座は長期に渡るもので、参加者は経営者や人事部担当者、コンサルタントなどバックグランドも参加目的も様々なメンバー。体験型・対話型で学んでいくスタイルの講座でした。

なんと、初日の朝からケンカが起こり、重い雰囲気の中、講座は進んでいきました。その後も人のアイデアを全否定する、皆で気づきを共有し合うはずの時間を一人でしゃべりまくって独占してしまう、皆が聞いてもさっぱりわからない質問ばかりして、多くの時間を奪ってしまう・・・。
こんな事態が幾度も見受けられ、私も含め、場にイライラ感と疲労感がますます充満していきました。

ある時、業を煮やした 1 人の女性が「本当にこのままでいいのですか?」と立ち上がり、全員での本音の話し合いが始まりました。

そこで判明したことは、「他の参加者に興味はなく、自分の参加の目的を効率的に学んで帰りたい。」という気持ちの人が多いこと、また全員がこの先、この講座で価値ある学びができるのか大きな不安を抱えていることでした。

そして、話を深めていく中で、『私たちは学びの共同体』という目的が共有できたことで、雰囲気が変わりはじめました。なぜなら、他の参加者のバックグランドに興味を持ち、受け容れ、視野を広げて自分の参加目的以外のことにも学ぶ価値を見出したからでした。これは遠回りでなく、テーマの本質を学ぶことに通じるものでした。
私は、「『学び』とは何か?」という問いを改めて突き付けられた思いでした。
学びには大きく分けて 2 つの種類があります。

1 つ目は学校教育のような、あらかじめ計画された学びです。ここでは、いかに効率的に正しい解を得るかということが重要視されます。

一方、人と人とがコミュニケーション(対話)を通して学ぶことには、視野の広がりによる新たな発見と今までの価値観までも揺さぶるような深い気づきを得る可能性が秘められています。

そこでは、様々な専門性や経験、個性のある人が多い程、学びが豊かになる可能性は高まります。
それと同時に、何を学べるかはそこに参加している人達の化学反応が決めることが多いように思われます。

イノベーションを起こしたいのであるならば、今の自分のままの安定した環境ではなく、揺さぶられるような環境をつくる必要があります。

どうせなら「違い」を楽しんで、事前には想定できない、効率では測れない学びや気づきに遭遇する好奇心を常に持ち続けていきたいと思っています。
女性活躍推進も少し気持ちが楽になりませんか?