株式会社 真経営 代表取締役 女性活用コンサルタント

早川 美由紀

<保有資格>
中小企業診断士/キャリアカウンセ...もっと見る
<保有資格>
中小企業診断士/キャリアカウンセラー(CDA)/ワークライフバランス加盟コンサルタント

女性社員の意欲と能力の開発、上司である男性管理職のマネジメントスキルの開発、人それぞれの持ち味を活かす風土づくりをサポートしている。

化学品メーカーのライオンにて、営業・販促企画・人事を経て、妊娠 8 か月の時に中小企業診断士を取得し、独立。2007 年(株)真経営設立。

人材・組織課題で関わった企業は 300 社超。その中で女性の能力を活かしきれない会社、仕事か家庭かに悩み可能性を閉ざしてしまう女性社員、女性社員のマネジメントに戸惑う男性管理職を多数目の当たりにし、会社・女性社員・男性社員の三方よしへのサポートを始める。女性社員活用をトリガーに、誰もが持てる力を発揮でき、過去のやり方や価値観に縛られないイノベーティブな会社を増やしていくことを目指して奔走中。

今回は女性部下のマネジメントについて、何かのヒントになれば幸いです。

では、ご質問を 1 つさせてください。
お友達のご夫婦に、男の子の赤ちゃんが誕生しました。お祝いにベビー服をプレゼントしようと考えています。何色のベビー服をイメージしますか?

ここで、「ピンク」とお答えいただいた方は、とてもすごいです。
私は、男の子のお祝いにピンクのベビー服を贈る勇気がありません。
「早川さん、女の子と間違えてるのかしら?」とか
「早川さん、センスがちょっと変かも・・・・」とか思われ、せっかく贈った服を着てもらえない可能性を考えてしまうからです。

知らず知らずのうちに、男の子は青や緑、女の子はピンクや赤という常識のようなものを持っています。

赤ちゃんがもう少し大きくなったら、保育園や幼稚園で、「男なのに、ピンク着てるー!」とか他のお友達からも指摘を受けるかもしれませんね。

私達は無意識のうちに、ジェンダー(社会的につくられる性別)に影響されています。「男らしさ」「女らしさ」のイメージがどう振る舞うべきかを決めていることが多いです。それから逸れると、親から注意をうけたり、周りから指摘されたりすることもあり、従って生きるほうが実は楽なんです。
「男のくせに」とか「女なんだから」とか言われたご経験はありませんか?
私は「女のくせに気が強い」、「女のわりに大食い」なんて言われます(笑)
男性が「男らしさ」から逸れると、女性以上に周囲の目は厳しくて、「女々しい」(歌も流行りましたが・・・)、「女の腐ったの」という言葉すら存在します。

ジェンダー 「女らしさ」・「男らしさ」

ところで、男性上司が女性部下のマネジメントが難しいとする理由を脳科学の視点から解き明かす説もあります。男性脳・女性脳といわれるようなものですね。
脳の構造の違いの影響は少なからずあるかもしれません。
ただ、それだけではなく、ジェンダーといわれる社会的に期待される役割から、無意識にとるべき行動を規定されてしまっていることの方が女性の言動に大きな影響があるのではないかと思っています。「女らしさ」「男らしさ」のイメージや思い込みは、社会にまだ根強く残っているように感じます。

ちなみに、トイザらスの日本のホームページは男の子用と女の子用に別々のページが用意されています。
スウェーデンではそんなことしたら、クレームが発生するそうで、ページの構造が異なります。ジェンダーに対する文化の違いが興味深いです。

また、日本ではリケジョ(理系女子)が少ない傾向にあります。これは持って生まれた能力差の問題ではなく、「女の子は文系」というイメージや思い込みが強く、理系の勉強に触れる機会や動機づけの機会が男子より少ない結果ではないかと言われており、政府も理系女性の育成に取り組んでいます。

「女らしさ」「男らしさ」で区別するのは便利なことも多いですが、
そのようなイメージや思い込みが、その人のせっかく持っている可能性を開発・発揮しそこなうことはとても残念なことです。

ジェンダーを超えたマネジメント

私自身、今は論理的に戦略的に考えることでお金をいただいていますが、
今の私に結びつくには、自分の殻を打ち破るきっかけがありました。

もともと学生の頃は、「女の子が理屈をこねたり、計算高いのはかわいげない」
という雰囲気をなんとなく感じ取っていました。その結果として、愛嬌第一! 言われたことはあまり深く考えず素直にやるという行動パターンでした。

社会に出てから、4 年程たった頃の 20 代半ば。ついにこの行動パターンだけでは生きていけないという現実に直面しました。人事部に異動となり、企画の仕事を中心に任されることになったからです。
全く企画が上司に通りません。今まで物事を論理的に、また深く考えたことのない私は何度も何度も書き直すという日々を送りました。
そして、報連相の度に「なぜ?」「目的は?」「他は検討したのか?」と突っ込まれまくりました。当時は心が折れそうでしたが、それでも任せ続けてくれた上司には、今思うと感謝しかありません。ここで、自分の未開発の部分に気づき、作業ではなく、仕事をすることを覚えました。この経験が、後に中小企業診断士をとることに繋がっていきます。

男女問わず、若いうちに成功・失敗含めいろいろな経験を積むことが、後の大きな成長につながっていきます。特に女性の場合、結婚や出産というライフイベントに影響を受ける前の 20 代にどれだけ今までの自分のパターンを破れる経験ができるかで将来が変わるといっても過言ではないと思います。
体験してはじめて、その仕事の面白みややりがいを知り、仕事に対する意識が変わっていくケースはいくらでもあります。

女性は、「女性らしく」や「女性ならでは」で仕事をすることを周囲から期待されることが多くあります。
「女性らしさ」=「優しさ」「きめ細かい丁寧さ」です。
男性よりも女性の方が、優しくきめ細かい人が多いのかもしれませんが、会社や上司がそのような枠組みだけで仕事のアサインや評価をしてしまうと、それ以外の力を開発・発揮しそこなってしまう恐れがあります。
女性でも、大胆で全体を見ることが出来る人もいますし、男性でも気が利き、細部に強い人はたくさんいます。また、ジェンダーを超えた役割を周囲から期待されることで大化けするケースも少なくありません。ジェンダーのイメージに縛られるのではなく、ひとりひとりの持っている強みを見据えて場を与える、評価するマネジメントが今後は更に必要とされます。

次回は、コミュニケーションについて書かせていただきたいと思います。