新川電機株式会社

大西 徹弥

ST製品企画部...もっと見る ST製品企画部

工場内では多くの回転機械が使用されており、工場を安定して操業するためには回転機械の振動を測定してその機械の状態を把握すること、即ち振動監視が重要です。操業上重要な回転機械は有線の振動センサを設置してリアルタイムで監視されていますが、それに次ぐその他の転がり軸受で支持された中小規模の回転機械には巡回点検やワイヤレスの振動センサを使った監視が主となっています。
今回から全6回に分けて、転がり軸受支持の回転機械を対象としたワイヤレス技術を使った振動監視について説明します。

ワイヤレスの概要

電波を使って信号や情報の送受信を行うワイヤレス技術の代表といえば、ラジオやテレビ、携帯電話、無線LANなどが思い浮かびます。このワイヤレス技術は日々進歩しており、今や様々な分野への応用が進んでいます。産業分野においても、現場のセンサや計測器で測定した情報をワイヤレスで伝送するセンサネットワークの導入が急速に進んできています。これはワイヤレスの大きなメリットの一つである配線コストの削減という目的だけでなく、作業効率の向上や安全・安心の向上、監視強化、IoTとビッグデータを活用した取り組みの一環として、膨大な現場データを収集する目的で重要な要素となっています。

ワイヤレスの種類

ワイヤレスの導入が進んでいる状況の中、産業分野では、より安全で高い信頼性を確保したワイヤレス技術を活用するため、工業用途に耐え得る技術が開発されています。また、広く複雑な工場・プラントにおいては、複数のワイヤレスシステムを導入することから、共存して活用できるような仕組み(マルチベンダ)を考える必要があります。このような背景から、センサネットワークの通信プロトコルに対する国際標準化の活動も行われています。

ワイヤレスには無線周波数帯域や通信距離、通信速度などの違いにより多くの種類があり、主要なものを図1に示します。

図1の中でWi-Fi、ISA100.11a、920MHz帯無線について触れたいと思います。

Wi-Fiは、国際標準規格であるIEEE 802.11規格を使用した無線LANに関する登録商標で、企業だけでなく一般家庭や公衆無線LANとしても広く使われています。無線周波数帯域は2.4GHz帯や5GHz帯が挙げられます。上記の通り幅広く使用されていることから、たくさんある種類の中では、導入のしやすさが大きな特徴ではないでしょうか。

次にISA100.11aは、ISA(International Society of Automation)のISA100委員会が策定した工業用無線で、IEEE 802.15.4規格に準拠した2.4GHz帯を使用しています。ISA100も国際標準規格となっています。強固なセキュリティや経路二重化などにより、信頼性の高いネットワークが特徴の規格です。

920MHz帯無線は、日本国内で2012年から使用可能になった無線周波数帯域です。920MHz帯は2.4GHz帯と比較して、通信距離が長いことと回折性に優れているという利点があり、障害物が多い工場・プラント内において、ワイヤレスのシステムを構築しやすいという特徴があります。尚、920MHz帯はスマートメーターに関連した国際標準規格に準拠したものもありますが、その他は日本国内の標準規格 ARIB STD-T108で定められています。また、同じ920MHz帯でも国により使用できる周波数帯域が異なっているため、工業用途で日本国内の920MHz無線に対応した機器を使用する場合、同じ機器をそのまま海外で使用することはできないので注意が必要です。

上記で紹介した3つの規格に対応する新川製ワイヤレス振動センサを図2に示します。規格や駆動方式など多種多様のセンサをラインナップしています。なお、これら製品については本シリーズ内にて詳しく紹介する予定です。

図2 新川製ワイヤレス振動センサ(クリックにて拡大表示)

このように、ワイヤレスの種類によって特徴が違い、使用される環境に合わせて最適なものを選んでいくことが重要であると考えます。

次回は、ワイヤレスを使うメリットについてご説明します。