スペイン語通訳・翻訳 スペイン語講師

杉田 美保子

スペイン・バルセロナでの滞在 27 年を経て、2015 年に...もっと見る スペイン・バルセロナでの滞在 27 年を経て、2015 年に実家のある金沢市に移住。日本三名園の一つ、兼六園で観光ガイドをするかたわら、地域の方々にスペインの魅力を語り、「故郷」バルセロナとのつながりも大切に、翻訳通訳だけでなく、ステレオタイプに縛られない、多方面での活動を模索中。現在、北國外国語カレッジを中心に、受講生のニーズに合わせたスペイン語のクラスを受け持つ。

スペインの教育文化スポーツ省認定のスペイン語能力試験 DELE の C1(上級)所持。

日本では、お盆が終わるとハロウィンが、オレンジと黒がベースのハロウィンの飾りが終わったと思うと、クリスマスソングが流れ始めてびっくりするのですが、スペインも似たり寄ったりです。ハロウィンではなく、カスタニャーダという名前で、焼き栗や焼き芋の出店が街に登場し、やはり日本の「お盆」のような日々で「死者の日」として 10 月末から 11 月初めに祝われ、その後は人々がそわそわし始めて、次のクリスマス到来です。

心も瞳も浮き立つ、キラキラクリスマス

私が滞在していた頃には、12 月初旬に向かってクリスマスの飾り物がウィンドウに飾られたものですが、最近はそれもかなり前倒しになっています。11 月半ばには、通りにクリスマスの電飾が設置され始め、「誰が電気代払うんだろう?」と思うほど、11 月末には通りはキラキラに光ります。

バルセロナの街の電飾の写真(街全体、金沢香林坊とは程遠い)
金沢香林坊の街路樹のイルミネーション

すでに過去のコラムでバルセロナのクリスマスの様子をお届けしましたが、これが毎年新しい飾りになっていくのです。家庭のクリスマス飾りが、日本のお雛様の飾りと同じで、箱から出して、飾って、期間が過ぎると次の年のために箱にしまって、という一連の「ワクワク感」があるのに反し、町の州市庁舎広場の飾りは、毎年変わるし、それに携わる作者も変わっていくのです。

毎年、州市庁舎前の広場(Plaça Sant Jaume=サン・ジャウマ広場)のクリスマス飾りについては、新聞に取りざたされるほど市民の興味の対象となります。室内での装飾作業ならば、締め切って用意し、当日「ジャジャーン」とお披露目ができるのですが、屋根のない道の真ん中の広場での作業は市民の目に晒されます。

サン・ジャウマ広場のベレン飾り。市民の意見は賛否両論
紙面のアンケート調査。あまり好まれていない様子

カタルーニャ州ではトップ、スペイン国内では四番目の発行部数を誇る新聞、ラ・バンガグアルディア紙でも記事となり、作者のデザインへの意図が紹介されました。アーティストのパウラ・ボッシュにとって、クリスマス飾り自体にではなく、その飾りを屋根裏部屋に取りに行き、様々な箱に入れてある飾りを取り出し、という作業がワクワク感を高揚させた、と思い出し、それを作品に表現したのだそうです。そして、毎年のようにそれに対しての批判が集まり、紙面ではアンケートも行われます。

実は、このクリスマス飾りが 11 月 29 日に発表された金曜日は、ブラックフライデーに便乗した日でもあったのです。ハロウィンもブラックフライデーも、スペイン古来のものではなく、近年になって導入されたのは、日本も同じ。この日のパン屋さんでは、ブラックフライデー、ブラックチョコレート、と銘打って、黒いパンが販売されました。どの国も、販売促進には色々と異文化の伝統を取り入れるものなのですね。

パン屋さんの 11 月 29 日の商戦。 ブラックフライデー、 英語でそのまま表記なのが面白い

そしてカターニャ地方には、翌年の豊穣を願って飾られる人形もあります。

カガネー(カガネル)がそれです。

パンツを下ろし、微妙なスクワットで排便している人形たち。この時期にしか販売されないもので、この時期にバルセロナを訪れるならば、なかなかレアなお土産になることでしょう。

カガネーにティオ。サンタ・ルチアのクリスマス市場は、週末の散歩コースに最適。
たくさんの人々がクリスマス飾りを求めて訪れる

では、寒くなったかと思えば、20 度に上がったりと、不規則な師走ですが、みなさんご自愛のほどを。

来年もよろしくお願いいたします!

¡Feliz Navidad!

フェリス・ナビダー

メリークリスマス

写真協力:
Salvador Barrau Viñas